血を吸う大地ッ!!

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様々な思惑がNYCで激突する『ファルコン&ウィンターソルジャー』S1最終回をザックリとレビュー

覚悟を決めるサム、自分なりのケジメを着けたバッキー

オススメ強度:★★★★

きな臭い空気が漂うNY。仲間を失いながらもフラグ・スマッシャーズを再び結集させるカリ。サム、そしてスティーブの仇敵でもあるバトロック。今もしぶとく息が続いているらしいヒドラ残党。陰に潜みながら、不審な動きを見せるシャロン。ヤバい企みは水面下で蠢き続けていた。

イザイアとのふれ合いを経て、それでも盾を引き継ぐ事を決心したファルコンことサム。自棄になっていたジモを殺さず、生きて償う道を突き付けたジェームズ"バッキー"バーンズ。軍人として地位を剥奪され、苦楽を共にした戦友を失っても尚、キャプテン・アメリカとして闘おうと意固地になるジョン・ウォーカー。それぞれの正義感を内に秘めた漢たちが今、NYCで再び邂逅する。

※ネタバレ注意!

海外ドラマとしては短いエピソード数ながらも、原作コミックのアレやコレやをしっかり踏襲しつつ、スリリングなアクション活劇として好評を博して来たバッキー&翼。彼らの旅も、いよいよ終結する第6話である。

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二代目キャップとしてサムがいよいよお披露目。盾に加えてジェットとスーツが一体化、二話目で破壊されたレッドウィングも台数が増え、今までもより更に増強されている。しかし、コミックにおけるファルコン版キャプテン・アメリカのコスチュームをそのまま実写化したようなスーツのデザインは賛否両論あるか。あるいはワカンダに依頼した時点でバッキーの当てつけも多少あったのか。

サム、バッキー、シャロン、そしてジョン。同じ時間、同じ場所でバラバラに動く登場人物たちが、問題解決に奔走するスリリングな展開に魅入ってしまう。真人間のクセにバトロック強過ぎだろう(汗) それ故に惜し過ぎる… アクションシーンはどれも申し分無いカッコ良さだ。サムがヘリを追うニューヨークの夜空を斬り裂く空中戦は暗さが絶妙で、スピード感があるカットでも動きがちゃんと見易い。また、そもそもあると思って無かっただけに、ジョンが手製のシールドをブンブン叩き付ける殺陣にも驚かされた。

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ビブラニウム製じゃないので当然ベコベコにされるジョンの盾だが、フラグ・スマッシャーズの面々に追い詰められ、ジョンのヒロイックさが段々と際立って行く様子は皮肉としか言いようが無い。また、今回ジョンとサムが派手なアクションを担う一方、これまでの劇場版で殴り合い担当だったバッキーが人助けに徹してる演出もまた印象的だった。

諸悪の根源を絶つ事に一応成功した(?)バッキー&翼。SNSが張り巡らされた現代で、サムが語った「あるべき姿」に世論も応える事になる。正直だいぶ御都合主義的でベタな展開でもあるけどラスト10分の描写にはやっぱり震えた。いがみ合っていたバッキーとサム。継承して行く事、そして誰かに報いる事の難しさを知ったふたりの、明日はどっちだ。

 

他方、疑念が渦巻く今後の展開

終盤の内容は予想以上にキッチリまとまっていたと思うんだが、説教くさいという意見も既にそこそこ見受けられる。しかし、現状アフリカ系とかアジア系に関わらず有色人種だからというだけで、どーしても好奇な目で見られがちな現代アメリカに対し、サムが劇中で語った言葉はやはり重いと感じる。

イザイア含め、朝鮮戦争に従事し死んでいった兵士たちを称えるスミソニアン博物館のブース。イザイアとサムが肩を抱き合うカットに心打たれる。また「見ろよ。ブラック・ファルコンだ!」という言葉に「違う。キャプテン・アメリカだ」と答えるカットは象徴的だと思う。

バッキーがヨリのアパートに戻り、全て打ち明けるシーンもやはり辛い。「息子さんを手に掛けたのはウィンターソルジャーだ!」と伝え、誤魔化す事だって出来たハズである。しかし、バッキーは自分の素性と真相を明かし、ヨリやリーの住まう街を去って行く。セラピーの先生との関係は建設的とは言えなかったが、手帳を託すカットに続きサムの元にバッキーが訪れるシーンを観て、やっとバッキーも救われたんだなァとしみじみ…

他方、不穏な動きは止む気配が無い。ジモの使命感はホンモノだったらしく、フラグ・スマッシャーズの主要メンバーは揃って消される事になる。これまで紆余曲折あったジョン・ウォーカーも何やかんやU.S.エージェントに正式任命。更に気になるのがパワー・ブローカーの正体である。

果たしてパワー・ブローカーはシャロン・カーターそのヒトだった。カリに対する包囲網が周到で、マドリプールでの追跡が至れり尽くせりだった理由もこれで合点が行く。米国からの恩赦も賜り、無罪放免となったばかりか、天下り先までちゃっかり獲得したシャロン。当然、機密情報や新型兵器と言った、オイシイ物が絶えず更新される米国の政府機関の内幕をシャロンが見逃すハズが無い。

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(↑それではココで、政府の機密情報を売り捌き、テロ行為に加担し、カーター家の血統を穢したシャロンの姿を、天国から眺めるペギーの様子をご覧下さい。)

バッキーとサムが絆を深め、互いの正義を尊重し合う中、悪しき連中は次なる一手に余念が無い。『ファルコン&ウィンターソルジャー』は一先ずお開き。しかしジョン含め、MCUでの彼らの活躍がこれからも見逃せない。