血を吸う大地ッ!!

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病み友コミュニティの崩壊…『ファルコン&ウィンターソルジャー』S1EP4をザックリとレビュー

血清を手に潜伏するカリの許に包囲網が迫るが…

オススメ強度:★★★★

舞台となるバルト海に面したリガのエキゾチックな景観は、何気ない場面であってもユニークな情緒に溢れ、とにかく画面に映える。勿論アクションの内容も中々。しかし今回は、いつもよりキャラクターの内情や精神性に踏み込んだ、ドロドロしたドラマ仕立てになっている。

ワカンダで洗脳から解かれたバッキーの、何とも言えない複雑な表情。思いがけず心通わせる事となるサムとカリの二人。そして目指す大義に全く手が届かず、自分がブレ始める新生キャップことジョン・ウォーカーの苦悩をガッツリと描いている。

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左:これまでのジョン・ウォーカー

右:そして第四話ラスト2分のジョン

※ネタバレ注意!

ジョンにしても、カリにしても、ヒトから外れた能力を持ってるクセにメンタルが幼いと言うか、何となく「ワタシが何してもズッ友だよね?」とか「誰が来ようと俺らしか勝たん!!」みたいな何かオラついてるトモダチ感があったんだが、今回とうとう双方のコミュニティに巨大な亀裂が走る事態となる。

サムとバッキーの姿勢と言うのか、心持ちもまた印象的だった。目下、スティーブの盾について色々思う事はあっても、二人ともサノスの手で消失⇒その後の復活を経験し、共通の戦友だったスティーブも失っている。バッキーはウィンターソルジャー時代のトラウマと向き合い、サムもまた退役軍人とのグループセラピーを通じて、ままならない兵士達の現実や、形を持たない思想の厄介ぶりをイヤというぐらい学んだハズだ。

カリやジョンがどこか即物的で、目の前で起きた事にメチャクチャ動揺してる感じな一方で、バッキー&翼コンビがトラブルこそ多少続いても「またコレですか。はいはいやりますよ」みたいな、何処か淡々と事に当たってるスタンスの対比が面白い。戦闘シーンも、これまでのダイナミックで開放的な殺陣に比べ、圧迫感ある室内戦が続き、その狭くて暗めな演出が今回の息苦しさの表現に一役買っている。

奇しくもアースキン博士(スタンリー・トゥッチ)がスティーブ・ロジャースに語った「人の本質すら増幅させ、善人をより善きヒトへ、悪しき者はより邪悪に」変貌させる超人血清の厄介さが、ここに来て重いボディブローとして効いて来た。「完璧な兵士では無く、善良な君のままでいて欲しい」と過去にアースキン博士はスティーブを諭していたが*1今回のコレこそ、博士が危惧していた事態では無かったか。

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自分を見失ったジョンの姿に茫然とするサムとバッキー。血で汚れた盾を携えた新生キャプテン・アメリカの、明日はどっちだ。

 

役者さん方の表現力に震える!!

『ワンダ・ヴィジョン』もそうだったが、MCUはVFXや奇抜な演出ばかりで無く、演者さんの表現や確かな演技力に担保されたドラマなんだと痛感。カリに語り掛けるサムの穏やかな顔、どんどん目が怪しくなっていくジョン、涙に濡れるバッキー、いつにも増して何考えてんのか分からんジモと、表情ひとつひとつに圧倒されてしまう。

またジョン・ウォーカー役のワイアット・ラッセルは、このドラマが配信されて以降著名なSNSで辛辣な誹謗中傷を喰らう程ヘイトを集めている。スティーブ・ロジャースが愛されたキャラだったからってのもあるが、これだけ嫌われたとなれば、ある意味ワイアット自身の個性や演技力の賜物かもしれない。嬉しいんだか…悲しいんだか…ワイアット本人には、へこたれず演者として更にガンバって欲しい限りだ。

一方、ダニエル・ブリュール扮するジモにも熱い視線が。ロキの二番煎じじゃんw何が違うんだよwみたいな意見もあったが、いよいよ狂言回しとして本領発揮し始めた。またかよ。勘弁してくれ。 特に前回のクラブシーンが、かなり好奇な目で見られてしまった為かなんとMARVEL公式チャンネルが未公開カットを含めた、ディレクターズカット版の一時間ジモダンス耐久バージョンを公開。ファンを騒然とさせた。

 

今回、ジョン、バッキー&翼、更にワカンダの追跡まで、しれっと振り切ったジモ。次週が早くも待ちきれない…

*1:ファースト・アヴェンジャーズで一番好きな場面。博士もスティーブも静かだけど、ふたりの内面の熱さや、精神の高潔さが垣間見える重要なシーンだ。何度観てもココで泣いてしまう…