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疑心が更なる火種を呼ぶ!『ファルコン&ウィンターソルジャー』S1EP2をザックリとレビュー

現代アメリカで他人を信用する事の難しさ

オススメ強度:★★★★★

スミソニアン博物館に寄贈された、今は亡きスティーブ・ロジャースの盾。結局の所、軍と政府筋の意向により、盾はジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセル)なる男の手元へ。メディアは早速、新生キャプテン・アメリカを喧伝し始めた。*1

サムも軍部の事もあずかり知らぬバッキーはあろう事か、遠く離れた自室のテレビでジョンの存在を知る羽目に。ミュンヘンで新たな仕事に取り掛かろうとするサムを訪れ、喰って掛かるバッキーだったが…

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※ネタバレ注意!

サム役のアンソニー・マッキーは元よりおちゃらけた性格で、台本に無いアドリブを勝手に入れる事で昔から悪名高かったそうな。対するバッキー役セバスチャン・スタンはどちらかと言えば内気な方ながらも、いざ共演の際にはアンソニーを上手くいなしているらしい。

本作の製作に当たって、この二人の空気感を何より重視しているとの公式なコメントもあり。終盤、第一話の厭味ったらしいカウンセラーも交えて、お互い膝を突き合わせてのグループセラピーがめっちゃツボ。いや、もう三人とも笑い堪えるのギリギリやないスか(笑) 頑なにレッドウィングを拒絶するバッキーにも笑った。

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その一方で、前回よりも増してアフリカ系に対するレイシズム、そしてアメリカの為に戦い、見捨てられた元軍人達の居所の無さを、MCUらしさも残しつつ容赦無く描いている。イザイア(カール・ランブリー)は原作だと"BlackCaptainAmerica"とも呼ばれ、スティーブ・ロジャースとも旧知の兵士だったハズなんだが、劇中では超人血清でスーパーソルジャーになると1940年代後半の朝鮮戦争に従事。しかも、その朝鮮半島で当時まだヒドラの手先だったバッキーと終わりの無い死闘を繰り広げていたらしい。

胸糞悪いのは、スーパーソルジャーの秘匿と研究を続けたい軍部と政府に手により、イザイアは数十年も服役する羽目になり、独房に拘留中も絶えずその血を抜き取られていたそうだ。バッキーはよせば良いのに情報を求めにイザイアの元を訪ねるが、交渉は即ご破算。イザイアの事など当然知らなかったサムは激昂する。

イザイアの家を出て、居合わせた警官がサムに"だけ"しつこく食い下がる一連のシーンは、現代アメリカで根強く続く、人種に対する歪んだ意識を鋭く追及している。また、バッキーにしてもイザイアにしても、戦地で想像を絶する体験をした後に日常に連れ戻された退役軍人達が、米国の足元でどんな風に観られているのかもそれとなく捉えている。

ジョンに付いても気になる描写が。冒頭、キャプテン・アメリカのテーマがジャズっぽいアレンジで流れる。アメフトの会場にはアフリカ系の住民が多数。ジョンと馴染みのホスキンスもアフリカ系、そしてアメフトの部室で絡んでいた女性も有色人種。

多分、ジョンの出身はアメリカ南部で「有色人種のヒト達とも子供の頃からフツーに懇意だった」と考えるなら、いわゆる中流白人家庭の連中は「ジョンは貧しい家の出だった」と語るのかもしれない。大掛かりな殺陣も、ドラマも勿論盛り込みつつ、社会に対する難しい疑問も投げ掛けるスリリングなバディ・アクション活劇。早くも次のエピソードが待ちきれない。

 

そして気になる黒幕の存在

結局の所、サムとバッキーの二人はジョンと断交。そして来週、あの悪名高い狂言回しジモ(ダニエル・ブリュール)が再登場する予定。嫌な予感しかしないぞ。 社会派ドラマな側面もありつつ、毎週しっかりアクションが盛り込まれている点もありがたい。バッキーはIWでもEGでも地味な立ち回りだったけど、そういやこの人スーパーソルジャーだったわ…

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スティーブとバッキーだけでもヤバかったのに、超人血清はまだ闇で大量に流通している様だ。ヨーロッパを絶賛横断中のテロ集団『フラグ・スマッシャーズ』の行き先も気になる。既に包囲網は狭まっているが、テロリスト達は何処へ向かうのか? 血清の出所は? そもそも、この混乱の黒幕は一体何者なんだ? 来週も見逃せない。

*1:ワイアットはアイス・ホッケーのプロ選手だったが、ケガの影響で現役の続行が難しくなり引退。その後は父と同じく、俳優の道を歩む事に。冒頭、部室でジョンがナヨナヨしてる場面は、ワイアット自身がかつて感じた本音も多少なり交じってるのかも。