血を吸う大地ッ!!

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北欧神話の新しい解釈??『ロキ』S1最終章をザックリとレビュー

幕引きにしては漠然とした印象だが…

オススメ強度:★★★★

※ネタバレ注意!

7月の間は心身共にずっとバタバタしてたが、今週末はどーにかこーにか落ち着いた感じだ。

というワケでだいぶ日を跨ぎましたが、張り切って『ロキ』のシーズン1のグランドフィナーレをレビュー。

少なくない犠牲を伴いながらも超生物アライオスを操る事に成功したロキシルヴィ。宇宙的な洋館に誘われ、屋敷の持ち主(ジョナサン・メイジャース)と対面するも、予想もしない事の運びに二人は面食らってしまう。"在り続ける者"”征服者””支配者”と物々しい肩書を並べ立てるその男の、飄々とした独り語りに翻弄されっ放しの"悪戯の神サマ"達。

呆気にとられる二人をそのままに、”征服者”は思いがけない提案を打診するのだが…

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国内外から数々の指摘が挙がっている通りで、前話と合わせて新型コロナウィルスの影響がモロに露呈した様に受け取れるエピソード。

エンドクレジットにて、なんとワンダバッキーを差し置き、S2の予定が名言されたロキ』。しかし本作がMCUのマルチヴァース構想に繋げる橋渡しである一方、今シーズン中の重要なトピックに明確な回答が無い上、更なる謎を提示したまま唐突に終わるという、シーズン丸ごとクリフハンガーという構成についてはかなりネガティブな声も聞かれる。

しかし、この後に控えているアントマン3に征服者カーンとして出演予定で、今回のエピソード中、ある意味主役級の扱いだったジョナサン・メイジャースの表現力は中々だったし、このドラマが始まって以降どうにもモヤモヤとした関係が続いていたロキシルヴィのカタルシスも凄まじかった。

また、カーンが悪戯の神であるロキ達を逆に愚弄するという皮肉な展開。そして、実質的に不老不死の神をシルヴィが手に掛けてしまい、さっきまで一本にまとめられていた宇宙が崩壊する様子から、マルチヴァースのはじまり≒北欧神話におけるラグナロクとして解釈した上でのラストの展開。更に更にカーンが住まう洋館(?)の描写から察するに現代の、しかもMCUの中で北欧神話を表現した様にも取れる演出にはただただ驚かされる。

MCUマルチヴァース構想を観て誰もが歓喜した一方、『ロキ』の最終話を観てファンが一斉に「多次元宇宙の始まりが、こんなにも切なく悲劇的な展開になるなんて…」とショックを受けている様子を観るに、本作のプロデューサーであるトム自身やファイギ、そして監督を務めたケイト・ヘロン女史らは今頃ほくそ笑んでるに違いない。ここら辺の絶妙なねじり方は流石MCUと言った感じ。

と、ここまで褒めた風に書いてるけど、他方で納得出来なかった部分もそこそこ。前述した通りで劇中のナゾに明確な答えが無いまま終わってしまった。TVAの職員の正体は結局なんだったのか? Ms.ミニッツは? 紆余曲折あった後、ようやっと懇意になったメビウスやB-15は多元宇宙に消えてしまい、別な誰かが上書きされたのか?

終盤にケジメを一応付けたとは言え、ロキシルヴィの唐突な顛末は打ち切りマンガのそれの様に感じる。また始めから終わりまでを振り返ると、レンスレイヤーのキャラ立ちや掘り下げもイマイチだった。当初は「レンスレイヤーのオリジンを描く!!」と聞かされていたハズなんだが…

ともあれ8月には"What If..??"が配信開始となり、後に控えたアントマンやスパイダーマンでも改めてマルチヴァースの混沌とした世界が御披露目となる予定だ。シーズン1はやや消化不良な部分もあったが、『ロキ』のS2では今度こそ劇中のナゾが解き明かされる様に、また首を長くして期待して待ちたい。

 

色々と質が悪過ぎるカーンと言う存在

カーンの独り語りは賛否両論だが、宇宙に数多と存在しているらしいカーンの中でも、唯一『ロキ』のカーンが話の通じる相手だったのでは?と考えるとクライマックスの展開は超複雑な気分である… またシルヴィロキを突き飛ばした後のTVAが別なナニカに置き換わってしまったのは、他に存在しているカーンの影響がそれだけ脅威的という事なのか?

カーンがおどけながら語った言葉に嘘は無かった様に感じる。一方でカーンが直接的に手を下したり、あるいはTVA等を使って間接的に行ってきた独裁はなかなか胸糞悪く、一言二言話した上でそう簡単に納得出来るワケ無い。劇中でカーンは「お前らふたり、最高だ!」と絶賛していた。カーンはNY決戦から逃亡したロキの中に大胆さや慎重さ、そして意外な思慮深さを見出し、一方で子供だったシルヴィをアスガルドから理由も無く連行したのは、その憎悪や怒りを自分に向けて欲しかったからなのか。

星同士が潰し合う多次元世界の争いは絶対に避けなければ…でもカーンが陰ながら取り仕切っていた独裁は許されないし…うーん… 観終わるとシルヴィの手で死に至ってしまったカーンの存在が妙に儚い。マジでこの男のおかげで二つぐらいプラスな気分。今後、間違い無く大型ヴィランとして大暴れするカーンという男の暗躍が、今からもう楽しみである。