血を吸う大地ッ!!

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何でもござれな特撮アクション『MORTAL KOMBAT』をザックリとレビュー

グロテスクだが雰囲気は完全に「劇場版! ●●VS○○!!」的なノリ

オススメ強度:★★★☆☆

格闘ゲームの一タイトルとして長い歴史を有しながら、内蔵がド派手に飛び散り、四肢すら小枝の様に斬れたり折れたりする過激な表現もあってか、我が国日本は勿論の事、アジア諸国やオセアニア地域で長らく「おま国」状態になっている"MORTAL KOMBAT"が久しぶりの劇場映画化。*1

タイトルやキャラクターを知らずとも、各キャラ固有のグロ過ぎ、気色悪過ぎな特殊勝利演出FATALITYBRUTALITIES は知っているというゲーマーの方も少なくないと思う。

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日本の忍びの一族白井流、そして大陸の暗殺者集団燐塊がシノギを削り合っていた時代から数百年。現代アメリカの路地で、流しの格闘家として家族と何とか食いしのいでいたコール・ヤング(ルイス・タン)の前にジャックス(メカッド・ブルックス)という男が現れる。時を同じくして、氷結能力を自在に操る謎の暗殺者の襲撃を目の当たりにするコールとジャックスの二人。

「お前の体のアザには曰くがある」と語るジャックス。日毎に増す謎の幻覚に悩まされていたコールは、真相を探るべく協力者の許へと向かうのだった。

主演のルイスはシンガポール系にルーツのある英国紳士で、過去に総合格闘家としての経歴もあったそうな。と言うかスコーピオン役の真田広之さんも、宿敵サブ=ゼロを演じたジョー・タスリムも、演者として働く上で様々な武術や剣術、マーシャルアーツを会得している為、「格闘家の祭典」の言葉も決して間違いでは無い。タスリムの指先の表現力には恐れ入った。彼のおかげでサブ=ゼロがより恐ろしいバケモノに感じられたし、殺陣のキレと言うのか、静と動が切り替わる独特な動きのメリハリはやっぱりアジア圏特有のモノなのだと再認識させられた気分。

それとタスリムと真田さんの殺陣では止せば良いのにスタジオにガチな氷のお立ち台をセットして撮影を敢行。当然、二人は勿論の事、二人のスタントダブルもスベりまくって相当痛い思いをしたらしい。SNSには笑顔を浮かべるルイスの横で、体の節々に氷を押し当て、必死にアイシングしてるタスリムという、超シュールな画像も投稿されていた。おいおい(笑)

全体的にプロデューサーとして企画を始めたジェームズ・ワンと、同じく製作として名を連ね、本作の監督も担当したサイモン・マッコイドらの「ココはこうしろ!コイツはこう撮れ!!」というオタ根性が良い意味で炸裂してる風に感じられた。特にクン=ラオ(マックス・ハン)とカバルの二人はマジでゲームそのまんま過ぎて衝撃! そもそもの上映時間が短かめである事を差し引いても「時間が短く感じられた」との声も見受けられ、内容としては結構充実感あるエンタメ活劇にまとまっていたのでは?と感じる。

シリーズ物じゃない無印アクション映画にしては、登場するキャラクターが多過ぎるぐらいだが、コレが意外にも各登場人物を丁寧に掘り下げており、マニアックなモータリアンは勿論、映画でモーコンに初めて触れるという方でも十二分に楽しめる下品で悪趣味なエンタメ大作だ。

 

全体的に満足感は高かったが

誰が言ったか『大きいお友達向けのスーパー戦隊映画』の感想通りで、最近DCだったり、MCUで特撮アクションと再びふれ合う機会が増えたと言う方ならば、ドバドバほとばしる血しぶきやドギツい欠損描写はともかくスンナリ馴染める雰囲気である。そういや『ゴジラvsコング』も文字通りVSモノの特撮アクション映画だったし、最終盤の決闘シーンのダメージ表現を観るに実質二週連続でモーコンだったかもしれない(錯乱)

ただ一部の批評家から指摘があった通りで、コールとソニアのバックボーンはかなりご都合主義的で薄っぺらく感じる。また、スコーピオンサブ=ゼロについて劇中で語られる部分が断片的過ぎて一部に矛盾も抱えており、その点でもマイナス評価。そもそも白井流燐塊が対決している理由が、少なくともこの映画の中では明確に語られていない。またビ=ハンとハンゾウの二人が初めて対峙する場面でも、過去に因縁でもあったのか、それとも無かったのかが曖昧でボンヤリしたままだ。

また劇中で真田さん扮するスコーピオンは一貫して日本語を話しているにも関わらず"Get Over Here!!"と叫んだり、「俺は今、スコーピオンだ」と名乗るのは不自然という声も。"Get Over Here!!"に関してはモーコンシリーズの象徴だし、企画や開発に長年携わったEd=boon氏の功績を称える意味でもハズせなかったのかもしれないが、確かに気になる点ではある。

なんにせよ、この後にシリーズとしての企画も起ち上げ中なんてウワサもあるので、今作の不満点が解消される事に期待したい。やや影が薄かった浅野忠信扮する雷電の活躍にも期待。ちなみにモーコンに詳しい洋ゲーマニアのフレンドによれば、「今からモーコンで遊んでみたい!」という場合、9以降はキャラやストーリーがリブートされた為、9⇒10⇒11の順で遊んだら十二分に楽しめるとの事。いやフツーに国内向けに配給してくれよ…

 

以下、最新作11のDLCキャラ含めた全FATALITY集。

グロいのニガテという方は閲覧注意!!

(↑過去、エイリアンやプレデター、更にクレイトスさんまで参戦した事もあるモーコン。11のDLCではミレーナ風神シンデルといった過去作のキャラの復刻含め、T-800やランボー、ロボコップといった豪華なゲストも参戦中。だからマジで国内向けに配給してくれって…)

*1:スペルミスでは無くホントに公式でこの綴りになっており、S"C"orpion"C"etrionJohnny"C"ageといった一部のキャラクター名を除き、モーコン世界では"C"がほとんど使用されない、という設定