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ポールもやれば出来るじゃん!!『三銃士-王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船-』をザックリとレビュー

ポール・アンダーソン監督作にしては出色のエンタメ映画

オススメ強度:★★★★

劇場版『バイオハザード』シリーズが長引くに連れ、奥さんのジョボビッチと共に評判落としてるフシがあるポール・W・S・アンダーソン監督が手掛けた「歴史考察なんぞ知った事か!!!」と言わんばかりのエンタメ三銃士アドベンチャー映画。

そもそも期待して観ていなかったせいか、派手なんだけどメリハリもある発破とVFX、中々体張ってる殺陣、そして個性豊かな俳優陣の顔にも魅了され「あれれ?ポールのクセにメチャクチャ面白いじゃん!!」と面食らった覚えあり。

銃士に憧れ田舎から出て来たダルタニアン(ローガン・ラーマン)だったが、当の三銃士たちは度重なるやらかしもあり、かつての威光にも陰りが差していた。

一方、イマイチ頼りないルイ13世に業を煮やしたリシュリュー卿(クリストフ・ヴァルツ)の足元ではミレディが不穏な動きを見せ、通りではロシュフォールが幅を利かせ、更に英国からはバッキンガム公爵(オーランド・ブルーム)が「同盟の為」という建前の元、最新鋭の兵器を引き連れフランスを訪れるなど、あちこちで火種が燻り続ける。

果たして銃士たちは愛する祖国を守れるのか…ダルタニアンらの闘争が今はじまる。

通常版でしか鑑賞していなかったので後になって気付いたんだが、3Dで劇場配給された影響か、どのカットも広くて明るく、いずれも奥行きが感じられる。特にリシュリュー卿が真っ白な広間で話すシーンが個人的にどれも印象に残っている。

登場人物も中々の人数なんだが、意外にもひとりひとりを丁寧に掘り下げており、影が薄いキャラクターが居ない点も好感が持てる。強いて言うならアラミス(ルーク・エヴァンス)がやや埋もれていた感じか。また俳優陣はいずれも出自が異なっており、米国資本の映画にしては実に多様な顔ぶれと感じる。

やたら掘りが深い英国系出身の銃士三人組に対し、敵役となるクリストフ・ヴァルツ、マッツ・ミケルセン、ミラ・ジョボビッチと、欧州にルーツがある三人が対決する構図がユニーク。オーランド・ブルーム扮するバッキンガム公爵の、飄々として超絶イケメンの二枚目なんだけど、微妙に抜けてるという役所も絶妙で面白かった。

史実では冷え切った関係だったらしいが、本作のルイ13世とアンヌ王妃はぎこちないながらもお互いに良い感じで、主人公のダルタニアンとコンスタンスとの関係と合わせ、ふたりのふれ合いも主軸となっている。アクションも豊富ながら、ここら辺のドラマもガッツリ描写されていて、とにかく飽きさせない造り。いや、ホントにどーしちゃったのアンダーソン君(汗)

所々で色っぽさもあれ、お子さんとも一緒に観れる一大エンタメ三銃士アクション活劇。観て無いヒトに今すぐススメたい、頭を空っぽにして楽しめる娯楽映画だ。

 

高騰していた製作費は一応回収出来たけど…

吹き替えは所謂タレント・芸人の吹き替えなんだが、ギリ視聴に耐えうる品質と感じる。日曜洋画劇場版の新緑吹き替えもあったらしいんだが、ネット上ではこのテレ朝新録版を支持する声が多かった様に感じる。自分はソフト版しか知らなかったので比較出来ないが、いつかCSか何かでテレ朝版も堪能したい所だ。

製作費の総額は7,500万$と超高額で、ウワサによれば一部カットは粗末なセットを組んだ上でクロマスクリーンを使い、なんとか誤魔化したとも言われる。言われてみれば、ラストのロシュフォールvsダルタニアン戦はなんとなくチープにも感じるが…

なんとか製作費分の興行をこなしたが、アメリカでの収入が伸び悩んだ影響もあってか、続編製作の計画は立消えになってしまったらしい。個人的はもっと続いて欲しかったんだが…  ついでに言うと、ほぼほぼ『パイレーツ・オブ・カリビアン』なサントラはかなり評判悪い。

3D上映を実現する為にVFXの工数もメチャクチャ掛かったとは思うが、それ以外でも衣装代でかなり予算を使い込みしてそうである。三銃士にしても、下っ端のダルタニアンにしても、当時からあんなド派手で質の良い格好はしてないとは思うんだが、そこは娯楽活劇の御愛嬌という事で。またアンヌ王妃、コンスタンス、ミレディのヒロイン御三方にも魅了された。三人とも異なったスタイルと美貌で、それぞれ個性が際立っている点も中々だ。

美女も二枚目もジェームズ・コーデンみたいな太っちょも勢ぞろいした力作。我こそは面食いという紳士淑女の皆々様にも是非オススメしたい一本だ。