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ブランドを再構築する難しさ『ハロウィン'18』をザックリとレビュー

マイケルの不気味さはそこそこだが…

オススメ強度:★★☆☆☆

旬をだいぶ逃したけどレビューします。言わずと知れたスラッシャーホラー映画の金字塔"HALLOWEEN"シリーズ。本作はその最新作で、'78年に公開された記念すべき第一作目から、直接繋がる正当な続編。構造的に既存の時系列がリセットされた形なので、ある意味二回目のリブートと言っても良いかも。

その為か"HALLOWEEN"というフランチャイズにとって、切っても切り離せない主人公(?)マイケルの軌跡が若干ぼかされた風なのでファンにとっては賛否両論だが、マイケル・マイヤーズを本作で初めて拝むという方にとってはむしろすんなり受け入れやすいかもしれない。

来年には本作の続編も公開予定。世界的に観て「こういった類の映画は生理的に無理!」というヒトも少なくないにも関わらず、シリーズ通して40年近い歴史があるというのも凄い話だ。

しかしながら、正直言ってこれがイマイチな出来。ジェイミー・リー・カーティス演じるローリーは、老いながらも芯のある精悍な出で立ちで、かなりスクリーンに映える。劇中で殺害されてしまう被害者のバックボーンもかなり丁寧に描いているし、マイケルの不気味さも悪くない。

ありとあらゆる凶器を駆使して流れ作業的に淡々と殺しをこなすシーンは、いずれも撮影機材や技法の向上がひしひし感じられ、猟奇的な映画にも関わらず心打たれた。特に住宅街の凶行シーンは暗所での長回し等もありながら、被害者もマイケルにしても「観たい!」と思う物をしっかりと画面に捉え切っている。

それでも「うーん…」と思ってしまうのは、色々と描きたい物を脚本にねじ込み過ぎた影響か。

一応言っておくと、製作陣の熱意は十分に伝わって来る。どうしても世間でマイノリティとなってしまう「凶悪犯罪者の家族」が抱える葛藤、犯罪被害者の癒えない心のキズ、その痛みをどうしても共有出来ない周囲の冷たい眼。そしてメディアにしても医者にしても、ヤバいサイコ野郎と安易に繋がろうと思う連中の危うさもそれとなく描いている。

だが、そういったピースが本作のスラッシャーホラーの側面を圧迫してる風でもある。だいぶ変化球かもしれないが、仮にヒューマンドラマ寄りで完成されていたら、また別な感動を得られたかもしれない。

またホラー映画の演出に目が肥えて慣れてしまった影響もあるだろう。こういったスラッシャー物は初めてと言う方には間違い無く新鮮に映えるとは思う。一方で続編、リメイク、リブート等、ブランドやフランチャイズの構築の難しさ、歯がゆさを痛感した一作だ。

マンネリ解消の難しさ

こういった猟奇ホラーに限った訳じゃないが、シリーズが長期化してしまうとマンネリしてしまい、結果として血迷った内容に傾く事もしばしばだ。

フレディもチャッキーも到底ホラーと思えないような荒唐無稽なギャグみたいになってた時期もあるし、レザーフェイスも女装した事があった。ジェイソンN.Y編に至っては、今になって改めて観ると何と言うか松本人志も実はこういう映画が撮りたかったのでは?とすら思える。

今回のマイケルだって例外では無い。ローリーの家族の面々も、続編が立て続けに製作されるに連れ、続々と付加されて来た歴史がある。またマイケルと血縁者の確執がシリーズの根幹だと思うんだが、2002年のレザレクションに至っては何を考えたのか、劇中早々にローリー自身が殺害されてしまっている。

そんな低迷からブランドを救うべく、リブートされたフランチャイズもそこそこあるが、少なくともロブ・ゾンビが監督を務めた"HALLOWEEN"のリブート版は登場人物らのクセが揃いも揃って凄まじい為、個人的にはあまり好きではない。その点で言えば、本作の構成はかなりリスペクトが感じられる内容ではある。来年の続編は、脚本段階で主演のジェイミー・リー・カーティスが絶賛しているらしく、ファンとしてはコチラも見逃せない。

マイケル・マイヤーズの画像