これまでのSTARWARSに一石投じ過ぎ
オススメ強度:★★★★☆
全体的にEP5『帝国の逆襲』を彷彿させる内容。冒頭でネヴァロの街を散策しているカットがあるんだが、銅像なのか何かのインフラ設備なのか分からんが、片手を空に突き上げたIG-11らしきナニモノかが背景にデカデカと現れて笑ってしまった。
今回は『マンダロリアン』S1からすっかり馴染みのカラとグリーフの二人、S1EP1開始早々にカーボナイト凍結されていた、気の毒なミスロルのおっさんもついでに再登場。しかも今回は、グリーフ・カルガ演じるカール・ウェザース自身が監督を務めている。
いきなり横に逸れるが、陽気だったり、いっつも前向き、マヌケで笑える雰囲気なんかを英語で"giggly"とか"goofy"とか言うらしい。劇中だとシリアスそのものだが、インタビュー等で素の表情を観た感じ、主人公ディンを演じるペドロ・パスカルもそうだし、カール・ウェザース当人もかなり"goofy"なヒトの様だ。
隙あらば差し込まれるディンとベイビーヨーダのコント、色々と待遇が不憫すぎるミスロル、「俺のスピーダーがっ!!」等、監督を担ったカール本人のユーモアがあちこちに散りばめられている。一方、これまで築き上げて来たSWの世界観に対し、一石を投じる様な要素も伺えて、かなり興味深いエピソードとなっている。
ジーナ演じるカラが画面に映ると、どーしても目が吸い寄せられてしまう。「シーズン2からアクションが増えたのは良いが、食傷気味だ」という批判もあるようだが、殺陣や空戦、ビークル同士のバトル等、エピソード毎にアクションのカットはテーマも舞台も表現も違う為、自分としてはいつも飽きずに楽しませてもらっている。特に撃ち合いシーンは前回と比較して観るとかなり面白い。
前回、ボゥ率いる部隊とディンの輸送船強襲シーンは現代の室内戦を思わせるかの様で、超スタイリッシュに表現されていたのに対し、今回の主人公らは廊下の中央を全員が中腰でヨタヨタ進み、敵を見かけると陰に隠れてレーザーをひたすら撃ちまくるという、どちらかと言えば往年のSF活劇を思わせるスタイル。
シーズン毎にショウランナーとプロデューサーの計画もあるし、撮る内容もある程度は決まっているとは言え、カラの運転で絶叫するグリーフとミスロルのおっさん二人組、そして帝国のスピーダー、輸送船、TIEファイター等のビークルが画面の中でグリグリ動き回るのを見ると、監督を務めたカール・ウェザースの「俺がSTARWARSでメガホン振るうなら、こういうのが観たいんだ!!」という想いや熱意がビシバシ伝わって来る。
ボゥの導きで新たな旅路も定まった。しかし、水面下では不気味な計画が尚も進行中。ディンとベイビーの明日はどっちだ。
SWユニヴァースにおける『なんで誰も○○しなかったの??』問題
世界観が広がり過ぎると大なり小なり矛盾が生じてしまう。今回のエピソードでは、ここまで構築されて来たSW世界に対し、ある程度の答えらしき物を提示した一方で、また別な疑問をファンに投げかけた様に思える。
具体的にはミディクロリアンに対するレポートだ。今回、劇中で帝国の科学者(?)が語った"M"は間違い無くミディクロリアンだと思ってる。コイツをルーカスがEP1で提示したばっかりに「ジェダイの神秘性が損なわれた!」と激しい議論が巻き起こった。しかし帝国、ないしギデオンが行っている人体実験の内容から察するに、ミディクロリアンを物理的に投与してもそもそもフォース感応者になれないし、最悪は危篤に陥るという事らしい。
「ミディクロリアン次第でフォースを扱えるようになるなら複製すればいいじゃん」という声に対する、公式の答えがコレなんだろう。ジョン・ファブローらプロデューサー陣の狙いはまだ分からないが、もしかしたら『マンダロリアン』は原点回帰とアニメシリーズとの連結も担いながら、新三部作までのミッシングリンクを埋める目的もあるのかもしれない。*1
それと旧三部作の時点で、既に問題だらけだったスピーダーバイクの危険性を改めて痛感。またEP4の劇中で、見た感じご老体なオビワンが臆せず淡々と行った仕事でも、一般人目線だとどれだけ難しく危険な作業に写るか暗に示してもいる。
カール・ウェザース氏の新たな一面も窺い知れて、とにかく驚かされた。次回は更に波乱含みとの予想もあり、金曜の夜が早くも待ちきれない。
*1:個人的には新三部作に繋げて欲しくないんだが、ギデオンの研究成果=スノークやEP9のアレだとすると結構面白いとも思う。ファブローの狙いがもしそうだとすれば、感動すると同時にキレるファンも出て来るだろうと予想。