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無敵の女戦士が心に深いキズを負うまで『ワンダーウーマン』をザックリとレビュー

あらすじ

パリ。ルーヴル美術館。その一室で、ある荷物を受け取る女性、ダイアナ。表向きの顔は、世界的に名を上げた古物商のダイアナだったが、彼女こそ過去の大戦で戦地に奇跡をもたらした"ワンダーウーマン"その人だった。 

ドゥームズデイの討伐、スーパーマンの死、そして再び世界に訪れる動乱の気配。それでも剣を振るう事に、未だ逡巡を続けるダイアナ。 彼女の心に深い傷をもたらした戦争。故郷のアマゾネス達、そして愛する者との決別。理想とは程遠い、現実の世界。

歴史の闇に秘匿され続けた彼女の闘いが今、明らかとなる。

レビュー『後半戦直前まではホント素晴らしかったが…』

オススメ強度:★★★☆☆

何故かド田舎では字幕版のみの公開らしく、劇場のシート規模も小型タイプで切符買う前は「こりゃ空いてるかな?」と思ってたら、ほぼ満席の状態で驚き。両隣が中高年のおっさん、おばさんで、しかも二人揃って劇中で何か起きる度にぶつぶつ独り言呟いてて、だいぶ集中力が削がれたが、それでも楽しめた。

特にダイアナがロンドンに着いてから、常識知らずにやりたい放題する下りは劇場内でも笑いもこぼれていた。やっと決まった服着て、剣と盾装備したまま持ち出そうとするカットほんとすき。

既にこれまでのDCEUを打ち砕く興行収益を獲得したともされる本作。DCプロダクションは当初WWは一作のみと宣言していたが、思いがけない好評を獲得した為、更にシリーズを拡充する予定らしい。一方で、主演を担ったガル・ガドットがイスラエル出身に加えて、女性が男性に頼らず主人公として活躍するプロットラインから、各種宗教団体や女性の存在自体を否定するレイシストどもの抗議活動なども噴出。実際、レバノンやカタールなど中東各地で上映を禁止する措置も執行中。確かに女しかいない島『セミスキラ』の描写は、一目にかなり異様な印象でしたが… 

まぁ、面白くも無い話題は無視するとして、重要なのは本作の出来だろう。結論言うと終盤戦まではホント素晴らしかった。幼少から少女へ、そして体躯のしっかりした女性となるまでの成長に始まり、浜辺での思いがけない出会い。初めての闘争、そして神聖な武器を奪い、神秘の島セミスキラからロンドン、そして戦火が燻る欧州への道のりをキャスト達の魅力的な演技と共にしっかりと描写。

BvS公開時、観客を戦慄させた例のテーマ曲も効果的に起用され、戦慄。本作を鑑賞するより以前に、BF1をプラチナ獲得するまで遊んでいた事もあって、スティーブの絶叫を後目に、塹壕から飛び出すダイアナの大立ち回りには痺れた。

正直「ブラック&ホワイト(This Means War '12 米)」以来、クリス・パインが好きになれず、予告編でもそのキャラクター性を心配していたが、どっこい中々空気の読める好青年な役柄でbene!観終わってから「あの場面もっと観たかった!」としきりに考えたが、これは各パートが短い訳では決して無く、観たい!と思わせる程、製作陣の演出や構成力、バランス感覚が優れていたからだろう。ホント良かった終盤までは

BvSでは「正義とは何か?」について苦悶するスープ、バッツの辛気臭い顔を劇場で延々眺める羽目になった。その反省からか、序盤からテンポ重視で引き込まれ更に『正義』だけでなく、無意味に消費される兵士達や、戦火に巻き込まれ理不尽に死に絶える民間人の様子もしっかりと描き、戦争の身勝手さ、惨たらしさを通じて『反戦』のテーマもしっかりと盛り込んでいる。

とりわけ本作で唸らされた点が、何を以って終戦となるのかが分からずに悲痛な顔を浮かべるダイアナの描写。現実の正義は明白では無く、戦争とはそう簡単に終わってくれない。ダイアナは朴訥に、敵総大将の首級を討ち取れば戦争が終わると信じていたが彼女の望み通りに事は運ばない。スティーブが食い下がる場面も含め、PTSDに苦しむチャーリー、人種に対する偏見の為に役者の道を諦めたサミー、白人に家族を殺された事を、それとなくダイアナに伝える何処か悟ったような顔の酋長。戦争のどうしようもなさに胸打たれる。

単なるオリジンに留まらず、ダイアナの顔を通して彼女が抱く心のキズ、そして華麗でド派手な殺陣活劇だけでなく、反戦や平和の主題も多彩な登場人物と共に、きっちりと掘り下げた事が好評の獲得に繋がった事だろう。

終盤の展開に難ありな本作

「ここまで誉めちぎった割には辛辣な評価じゃない?」と思われた方に弁明すると、中盤までキッチリしっかりとした構成が、いよいよ終盤戦に至るかという時点で急にプロット&演出が甘くなる為にその点でややマイナスな印象だ。 

特に納得が行かないシーンがひとつだけ。真の黒幕が姿を現した場面で、背中に手を回したけど剣が無い事に気が付くカット。「え?どうするの?武器ないよ?」と思ったらスティーブ達へ場面が移り、更に続くカットでダイアナに視点が戻った瞬間既に剣を取り戻してるという下り。内心「違うだろぉぉぉっ!!」と絶叫。剣を取り戻すまでにそこそこなカタルシスを演出出来たハズだし、このシーンにはすんごくガッカリ…

それとBvSを鑑賞済みで「序盤中盤より、派手なだけで冗長な終盤の闘いにむしろ落胆した」という方は恐らく同じような感想を抱く事だろう。コレばっかりは完全にDCEUの悪癖だと思う。本作において、ザックは飽くまで原案強力という形での参画だが、ザックとデボラのスナイダー夫妻のプロダクションスタジオの名前もがっつりクレジットされてる様子から察するに、アクションシーンに関しては結構プロダクションサイドの肩入れも大きかったのでは無いか。冬にはジャスティス・リーグも待ち構えてる。アクションが必要な点も重々承知だが、ここに関してはもう一工夫欲しい所。

元々、観る予定は無かったWonderWoman

ぶっちゃけ劇場に足を運ぶ予定の無かった本作なんだけど、とあるYoutuberの動画を観てから、いや鑑賞しよう!と心変わり。

↓その動画がコチラ↓


Vineが終わる頃にドハマりしたSNSセレブなEh Bee Family。この動画は、ローマでのWW撮影現場を訪れた模様をまとめたVlog。このビデオ観て無ければ、たぶん劇場に赴く事も無かったかも。WW製作陣一同、そしてEhBee一家に感謝感謝orz