血を吸う大地ッ!!

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今日から始めるスーパーおじマッチョ生活!!『シャザム!』(字幕版)をザックリレビュー!

バカバカしくもマジメに骨太なボーイ・ミーツ・ワールドを描いたDCの新顔、推参!

オススメ強度:★★★★★

※たぶんネタバレ無し

'40年代に世に産み出され(そしてDCと訴訟したり、MARVELに同名キャラが出て来て名前変えたりと紆余曲折ありながら…)王道なスーパーパワーを持ち合わせつつ、しかし正体はその辺の悪ガキという変化球で人気を博して来た、意外なルーツを持つDCの古株ヒーロー"Shazam!!"遂に実写映画化。

簡潔にまとめると…

アメコミ映画なのに事前情報一切必要ナシ!主人公の子役二人+シャザム!役ザカリー氏の、喜怒哀楽をバクハツさせた演技がとにかく絶妙過ぎた一本。

全体的にDCらしからぬおバカで能天気なムードだが、意外な事にお話はとっても骨太。ヴィランとなるDr.シヴァナ(マーク・ストロング)と主人公ビリーには共通点が多く、またシヴァナのビギンズと行動は凶悪で、かなりのダーク・テイスト。この明暗の表現はDCらしくてbene!!

しかし、不満が一点だけ…この映画の戦闘シーン。冗長。


SHAZAM! - Official Teaser Trailer [HD]

自分は吹き替えや字幕にあんまりこだわりが無い為、劇場で席を買う時の気分と時間次第で選んでる派なんだけど、今回は劇場公開直前きな臭い話ばかりだったので字幕版を鑑賞。監修はアンゼたかし氏。…毎回ホントお疲れ様ですorz

舞台は現代のフィラデルフィアでクリスマス間近。しかもジャスティスリーグの闘いの後と言う位置付けだが、なんとなく'80年代の映画観てる気分。それとコレは不満点になっちゃうんだけど、アクションシーンについて。

DCEUのそれは前々からダラダラしてるように感じてニガテだったんだけど、本作は見た目以上にドラマが詰まっている事もあってか、極論戦闘パート丸々不要な気がしてならない。ビル挟んでシャザムが「聞こえないよ!」っておちょくるカットを披露する辺り、実は製作サイドも自覚してるのでは?

VFXはこれまでのDCEUに比べてそこまでハデって訳じゃないが、シャザムの存在感をちゃんと際立たせる事に成功している。彼が取る極端すぎるアクションがいちいちチャーミング。そして、最初こそダサさに失笑していたビリーが、大声で"Shazam!!"と叫ぶカタルシスにグッと胸が熱くなる。

シャザムのスーパーパワーを試したい!という事で、ビリーとフレディの悪ガキ主人公デュオが向かった先はロボコッ●出て来そうな廃工場。当然やる事と言えば中学生が脊髄で思いつくような頭悪いアナーキーな行動ばかりで、しかもちゃっかり動画まで録って自前のyoutubeチャンネルでフォロワーを量産してしまうという、徹底した節操の無さに笑ってしまう。

予告編でも触れられていた、コンビニ強盗に出くわしシャザムに弾丸が通用しない事に二人が気が付くシーンにも堪らず大笑い!アレ顔面無敵じゃなかったら今頃どうしてたんでしょうか?天丼って世界共通の笑いの要素なんだなぁと新ためて実感。

一方、黒幕となるDr.シヴァナも忘れ難い強烈さ。と言うか"Shazam!! VS Dr.Sivana"のタイトルでも納得出来たと思われる程に描写が濃く、今までDCEUが苦心して来たヒーロー&ヴィラン誕生の両立を、この映画はあっさりクリアしてしまっている。

またシャザムに変身するビリーとシヴァナの共通点にも是非注目して欲しい。

二人とも家族の存在に強い劣等感を抱いている。シヴァナは『家族を超えたい!男として認めて欲しい』ビリーは『里親なんかじゃなく、実の母に受容されたい』と願う。シヴァナは占いボールこと"Magic8ball"を、いい年のおっさんになった現在も後生大事に保管し、ビリーもダーツ屋で母に獲って貰った方位磁針のキーホルダーを、今も大切に握り締めている。劇中、二人ともそのチンケなおもちゃを手放すシーンがあるんだけど、シヴァナの目線で観ると「やったるぞ!」という高揚感がマッハでやりたい放題だが、逆にビリー側の該当シーンでは悲壮感と失望が凄まじく、劇場で自分も一緒にガックリ肩を落としてしまった。

冗談抜きであそこだけモンスターみたいだったぞ。二人がスーパーパワーを駆使してる姿の対比も面白い。ビリーは内向的で厭味ったらしく手が付けられないガキだが、シャザムに変身している間は社交的で明るく、背丈は大人だがホントの子供へと還っているように見える。

一方のシヴァナはひたすら神経質な大男だったが、真のヴィランとして覚醒してからは妙なおおらかさを感じさせ、独特な紳士ぶりを披露。

また"嫉妬"は何処だ?と啖呵を切り、シャザムとシヴァナが互いを睨み合う場面も印象的だった。二人に共通するコンプレックスこそ嫉妬だった。そしてその嫉妬以上に、二人とも『家族ってこうあるべき』という偏見に囚われているように感じられた。

偽物の家族なんて…と終始嫌がっていたビリーが、シャザムの力を手に入れ街中を気ままに飛び回り、どこか似た物同士のワルモノと殴り合い、最後に家族が揃った食卓へ自ら手を伸ばすラストで普通に泣いたわ。チクショウ。

オススメします!(逆ギレ)

これからどうなる?シャザムのその後

時は1940年。シャザムは元々、キャプテン・マーベルの名でDCとは全く別であるフォセット・コミック社が手掛けていたスーパーヒーロー…だったんだが、当時DCは「これスーパーマンのパクリじゃね?お前の事、訴えるからな!」とあちこちで訴訟沙汰を起こしていた時期で、翌1941年になるとキャプテン・マーベルも同様の裁判へと発展。(したたかな事だが、フォセット・コミック社は裁判中であっても単行本の出版を止めず、キャプテン・マーベルのブランド自体は継続していた。)

訴えられたフォセット・コミック社は「金は用意する!和解しよう!」と交渉。'50年代になって示談が成立し、両社はようやく和解するが当のフォセット・コミック社は業績低迷によりアメコミ界隈から撤退。なんだかんだ人気作だった為か、和解成立後にDCがキャプテン・マーベルの版権をフォセット・コミック社から買い上げている。

しばらくしてDCでキャプテン・マーベルの単行本を出版しようとした矢先、今度はMARVELでキャプテン・マーベルが新登場!訴訟まで起こした挙句、本家(?)キャプテン・マーベルはお蔵入り寸前まで追い詰められたが、その後何とかテコ入れしてシャザムが生まれました!という、むしろそっちのドキュメンタリー撮ったらそこそこウケそうな程、数奇過ぎる出生を辿ったヒーロー。

そんなシャザムとキャプテン・マーベルが、まさか同時期に劇場公開を果たすなんて…


Marvel Studios' Captain Marvel - Trailer 2

ちなみにシャザムは続編をキャスト、撮影クルーそのままで続投決定との事。

eiga.com

蛇足乍ら、興行成績でDCEUのスーパーマンを軽くいなしてしまったらしい…すげーなシャザムは…

今後の展望として同じ"Shazam"のスペルだが、列挙された神々がエジプト神話バージョンで、シャザムと同様に煌めく稲妻が象徴的なブラックアダムの単独映画化企画が進行中。


Injustice 2 - Introducing Black Adam!

主演はドウェイン"ザ・ロック"ジョンソンとのウワサあり。製作進捗はシャザム!⇒ブラックアダム⇒シャザム!2のようだ。

ワンダーウーマン、アクアマン、そしてシャザム!と初期の渋い評価を脱するようなDCEUの盛況ぶりに驚くばかり。

今後のラインアップも見逃せない。