基本情報
タイトル:デウスエクス
原題:Deus-Ex -Human Revolution-(以下、HRと表記)
ジャンル:先端サイボーグ技術で蘇った特命警備員の復讐を描くFPS風RPG
開発主導:Eidos モントリオール
発売:2011年
CERO判定:Z
ゲームモード:ソロキャンペーンのみ
あらすじ
最先端バイオテクノロジーで業界を牽引するサリフ・インダストリー。
そこで警備主任を務めるイチ●ーアダム・ジェンセン。
アダムはワシントンで行われるミーガン・リード博士の聴聞会、
その警備状況の確認を行っていた。
ボスであるデヴィット・サリフに最終報告をしている最中、
オフィスに警報が鳴り響く。研究所を何者かが襲撃したのだ。
事態を収拾するべく尽力するアダム。
しかし、全身を改造強化した武装テロリスト達には敵わなかった。
暴行され頭を銃で吹き飛ばされたアダム。
結局、聴聞会へ向かう予定だった恋人のミーガン博士
及び、居合わせた研究チームメンバー全員が死亡という最悪の事態となった。
半年後。
サリフ・インダストリーにはアダムの姿が。
デヴィットは瀕死のアダムに
大掛りなサイバネティック「オーグメンテーション」を施していた。
強化人間として死の淵から帰還したアダム。
今、復讐が始まる。
REVIEW
オススメ強度:★★★★☆
雰囲気ゲーの一つの到達点とも言える出来です。
FPSでタグ付けしてますが、ドンパチ向きなゲームデザインじゃないです。
一応防御力の増強も出来ますが、それでも近距離なら1発でほぼほぼ瀕死。
中~遠距離でも2~4発で死に至る程に自機が脆弱です。
なのでMGSのように基本ステルスでの進行となります。
飽くまでFPS「風」のRPGです。
FALLOUTとかスカイリムを遊んだ方はしっくり来るかも。
サイボーグが自己強化しながら事件の真相を暴く、
希少とも言える本格的なサイバーパンクなSFジャンルのゲームです。
改造強化も実に多用で
AIM向上、アイテム所持量拡張、ダッシュの向上など一般的な物から
- 毒ガスや高圧電流を無効
- 壁の向こうを透視
- 脚力強化でジャンプ力向上
- 指向性爆雷を体内に内臓
- クローク機能拡張で光学迷彩を実現
と、かなり多岐に渡ります。
世界観の構築も凄まじく、2020年代も終りに差し掛かり
不安定な治安に荒みきった世界が画面を通し、生々しく描写されます。
エネルギーバーやプロテインが日常的に普及してたり、
マスメディアの報道ひとつで世論の傾向を変えたり
あるいは、逆にその与論を締め上げたりする描写は妙な現実味があります。
ここまで雰囲気造りを徹底したゲームはないでしょう。
しかし、欠点が無い訳でもありません。
この手のRPGは操作のレスポンスが要なワケですが、
メニュー画面がやや凡雑、ロードに時間が掛かるなど
UIの粗さが悪目立ちしています。
それと一部ダンジョンがやたら複雑な構成になってます。特にヘンシャ。
(ちなみにヘンシャは意図的に複雑なレイアウトを施された模様)
「攻殻機動隊-Ghost IN The SHELL-」や「ターミネーター」など
サイボーグが活躍するなら何でも好き!という方にオススメ。
と言うか、警官が理不尽な暴力で死にかけた挙句、
サイバネティックで生き返ってビジランテとして活躍するってプロットは
まんま「ロボコップ」だろ!という指摘もあるでしょうが、
劇中のデトロイトにおいてニヤリとするようなオマージュがあります。
気になる人は警察署へ行こう!
Deus-Exフランチャイズの解説
海外で絶賛されたサイバーパンクRPG「Deus-Ex」(以下、DEと表記)
政治的なメッセージを含んだテーマ性や重厚なBGM、
そして、とにかく無機質で洗練されたビジュアルが好評を博し
様々な「GOTY」アワードを席巻したそうです。
本作DE-HR-は初代DEを参考として、
新たに開発されたシリーズの一遍となります。
しかし発売当初、「こんなんメタルギアまんまじゃねーか」と
日本よりも海外で紛糾が起きたそうな。
当時のレビュー動画等に、その名残が見て取れます。
傑作だった初代DEですが、
残念ながらEidosジャパンの広報活動が上手くいかなかった事、
そして、当時PCで遊ぶゲームが中々市場で浸透しなかった事から
日本では全く知名度が無いフランチャイズです。
(Eidosはその後、日本から撤退)
実は、シリーズの時系列においてプロローグを描いた今作。
各作品毎に並べるとこんな感じ。
西暦2020年代後半~
デウスエクス-HR-
↓
「Deus-Ex -MANKIND DIVIDED-」(近日発売予定)
↓
西暦2050年代初頭~
Deus Ex(初代)
↓
Deus Ex-インヴィジブル・ウォー-
↓
となります。
HRと初代DEの間では20~30年の時間が経過しており、
技術面でもぱっと見で「コイツ、改造してるな」と分かる
サイバネ技術「オーグメンテーション」から
小型化が進み、一目には人体拡張を行っているとは分からない
「ナノオーグメンテーション」が主流となり、
舞台も荒廃した地球から宇宙まで広がっています。
まとめ
政治や宗教、哲学的な要素を盛り込みつつ、
ゲームとしての楽しさも両立させる事に成功した素晴らしい作品。
士郎正宗さんや押井守さんが今まで描いて来たように
「改造人間の悲哀」を表現しています。
きっと貴方も遊んだ後には「サイボーグ」に対する意識が変わっているハズ。
小粒ながらも印象に強く残るSFゲームの逸品です。
最新作の日本発売も決定し、アダムの更なる活躍にも期待。
予習の為に、アナタもアダムの戦いの歴史に一度触れてみては如何?